ゆったん@したっぱ薬剤師

病院薬剤師の日々の戦いについてまとめています。

スインプロイク®錠<一般名:ナルデメジントシル酸塩>

アミティーザ、リンゼス、グーフィス…この10年で様々な下剤が登場しました。うんちがでないというのは死活問題ですよね。今日はその下剤の中でも、唯一、オピオイド誘発性便秘症(OIC;opioid-induced constipation)に対して適応のあるスインプロイク®についてです。

オピオイド誘発性便秘症(OIC)とは

スインプロイク®製造販売元の塩野義製薬のホームページには、OICの定義として以下が記載されています。

オピオイド療法の開始時、排便の習慣やパターンに以下の変化が現れること。
  • 排便頻度の低下
  • いきみを伴うようになる/より強いいきみを伴うようになる
  • 残便感
  • 排便習慣い苦痛を感じる

オキシコドンフェンタニルなどのオピオイドは副作用として多くの方が便秘気味になります。また、OICは耐性ができない(飲みつづけても体が慣れない)ため、オピオイドによる治療を行っている期間は便秘になりやすい状態が続きます。

 

いつからスインプロイク®を飲み始めればよいのか

スインプロイク®を飲み始めるタイミングは、オピオイドを飲み始めたタイミング、飲み始めて便秘になりはじめたタイミング、どちらが良いのでしょうか。

臨床試験では、オピオイドを使用してしばらく(2週間)経ってからスインプロイク®を内服すると、70%程度に下痢が発現するとの結果が出ています。これは、オピオイドの離脱により、たまっていた便(=宿便)が一気に出ることによるようです。

便秘が心配な方はオピオイドを内服したタイミングから併用を始めてもよさそうです。

また、オピオイドを使用してからしばらくたった患者さんにスインプロイク®が処方された場合は、併用初期に下痢が現れる可能性があることを説明し、下痢になっても一時的な場合が多いため中止せずそのまま飲むよう説明すると良いですね(ひどい下痢の場合は脱水にならないよう水分摂取の指導も忘れずに!)。